ある美しい女医の教え
美人で華やかで、おまけにとてもセンスが良く、黙っていても目立ってしまうその人の職業は、医者。
私はちょっと聞きにくいことを思い切って聞いてみた。
「そこまでおキレイだと、お仕事にさしつかえませんか?」
その人は当然のように、この不躾な質問を否定したけれど、それでも医者という立場でなくてはわからない、こんな話をしてくれた。
「私はおしゃれも好きなんですけれど、医者になったばかりの頃、かなり苦労をしました。
患者さんは、体だけじゃなく神経もやはりそうとう病んでいるんですね。
心も弱ってるから、派手なものや強いものを見たくないんです。
だから、身だしなみ程度のメイクも患者さんにとっては邪魔なものになるんですよ。
それより、"いかがですか?"とやさしく言葉をかけることがいちばんなんです」
長い間入院していた女性が似たような話をしていたのを思い出す。
お花をいただくのはすごくうれしいけれど、病室中がお花でうまった時、じつはものすごく疲れたのだと。
しかし一方、患者さんの気持ちを明るくするために、殺風景な病院の中、せめて化粧だけはきちんとしようというのが、看護婦さんの心得でもあるという。
お花も化粧もまた病人への心づかい。
さてどちらが本当なのか。